ドビュッシーの「月の光」を聴く機会が、なんとなく多くなりました。
多くの演奏者の中で、ジョージア出身のピアニスト、Kathia Buniatishvili(カティア・ブニアティシヴィリ)のピアノに惹かれます。
その美しい容姿について語られることの多い演奏家ですが、それはむしろ付随的なものです。私が感動するのは演奏そのものです。
ピアノという楽器の孤高な特色がよく表現されていると思います。
大きな手でしっかり音を発しますが、ドビュッシーの夢幻の世界を表現するときは、繊細なタッチで澄んだ音を聴かせてくれます。
旋律の表現はカティア独自のものです。
子どもの頃から演奏活動をしていたことは、この世界では特筆することでもありません。日本にも何度か来て演奏しています。
カティアの演奏を聴いていると、そのフレーズの捉え方に特徴を感じます。微妙にテンポを揺らすところがあったり、大きな旋律の中であえて休止をつけることがあります。その歌い方は天性のものです。
ちょっと意外な演奏も。
森のコンサートです。本当に森の中で演奏してます。
冒頭から、バッハのカンタータ208番の第9曲、アリア「Sheep may safely graze(羊は安らかに草を食み)」に引き込まれます。
森の静謐の中で響く月の光は、全身を癒してくれます。
音の一粒一粒がどれも森の瑞々しさに生気を得て飛び跳ねています。
バッハの音楽は神の栄光を讃えるものですけれど、その根源は欧州の自然に中にあるのでしょうか。
参考までスポンサーリンクを紹介します。
最初はカティアのシューベルトです。シューベルト特有の切ない歌声が、カティアの肉声を通して聴こえて来るような気がします。カティアの公式Twitter(@BuniatishviliKh)でもアイコンに使われている写真です。
カティアの小品集です。冒頭のバッハのカンタータは心に沁みます。彼女のイメージによくあった選曲で、音だけでカティの演奏する様子が見えるようです。私はいつもこのCDを流しながら仕事しています。
ラフマニノフの2番と3番です。圧倒的に2番が世の中では支持されていますが(私も2番の演奏会はステージで何度経験したか笑)、個人的には3番もいいですよ。特にカティアの3番は何度も何度も聴きたくなる名演奏だと思っています。
現在リリースされているカティア唯一のBlu-rayです。動画でカティアの演奏を見ることができます。イスラエルでズビン・メータと共演したライブです。リストの難解な曲を超絶技巧を駆使して雄大なスケールで弾ききるカティアについ見とれてしまいます。対照的に、しっかりとした音楽性で構築されたベートーヴェンの壮大な世界も私は好きです。この曲は多くの演奏家が録音(録画)していますが、私はカティアとメータ師匠のこの演奏はOne of Bestだと思います。