ワールドトレードセンターの思い出

2001年9月11日の同時多発テロで破壊された世界貿易センター=WTC(World Trade Center)を覚えていますか。

世界貿易センターには、日本の企業も多く入居していました。私の知っているだけでも日本の銀行のニューヨーク支店、東京都ニューヨーク事務所などが入っていました。

そんなご縁で、私は何度も、かつてあったWTCに登ったことがあります。

印象としてはセキュリティが厳しく、そのため敷地に入ってから目的地に到着するまでの手続きが(入居者にとっても来客にとっても)煩瑣で、あえてこのようなランドマークの高層ビルにオフィスを構える必要があるのか?と疑問に思っていました。

建設されたのは1973年です。周辺の複数のビル群7つをまとめてWTCと呼んでいましたが、圧倒的に有名なのは110階建てのツインタワーです。

実はいわゆる9.11の前にもテロはありました。

そのときの体験談、例えば全員即時避難を命じられ、超高層階から階段(!)で降りる苦難を想像してください。そんなお話をWTCの日本企業駐在員から伺って、ものすごい危機感を抱いたことを思い出します。

それは、これだけテロリズムの対象となりやすい建築物の中で働くことの危機感は、多分その企業体の経営者は全く考えていないだろうな、ということです。

2001年9月11日は、私は日本にいました。

直前の8月に、ちょうど英国で日英両国政府主催の「JAPAN2001」という文化行事があり、それに参加するためイギリスにいた直後だったのです。

知人の放送局記者から電話があり、「すぐテレビをつけて!WTCが燃えてる!」と言われました。

今ならComputer Graphicsだろ?と驚かずに見られるような画像ですが、当時はあまりの衝撃に、テレビ画面の前で立ち尽くしていました。

午前8時46分、イスラム過激派テロリストにハイジャックされたアメリカン航空11便が1 WTC(北タワー)の北側外壁、93–99階に突入した。その17分後の午前9時03分、同じくハイジャックされたユナイテッド航空175便が2 WTC(南タワー)の南側外壁、77–85階に突入した。 北タワーでは11便の衝突によって全ての非常階段が破壊されたが、南タワーでは175便が中心から逸れて衝突したため、1本の非常階段が使用可能な状態で残されていた。

午前9時59分、南タワーは約56分間炎上した後に崩壊した。航空機の衝突による構造的ダメージに加え、ジェット燃料が引き起こした火災の熱が構造部材の強度を著しく低下させたことが崩壊につながった。10時28分、南タワーに続き、北タワーが約102分間炎上した後に崩壊した。午後5時21分、7 WTCビルが火災による構造ダメージによって崩壊した。3 WTCビル(マリオット・ワールドトレードセンター)はツインタワーの崩落に巻き込まれ崩壊した。プラザ周辺の3つのビル(4–6 WTC)はツインタワーからのデブリによって甚大な被害を受け、事件後に解体された。ワールドトレードセンター跡地での救出作業や回収作業、がれきの除去が完了するまでには8カ月を要した。


アメリカ国立標準技術研究所 (NIST) の推定によれば、テロ発生時のツインタワーには約17,400人が存在していた。ワールドトレードセンターとその周辺での民間人死者は2,192人(突入した旅客機の乗員乗客を除く)であり、中でもキャンター・フィッツジェラルド(北タワーの101–105階に入居)とマーシュ・アンド・マクレナン(北タワーの93–101階に入居)、エーオンなどの企業は多数の死者を出した。南タワーに旅客機が衝突したポイントは北タワーに比べて低層であり、より多くフロアが影響を受けたにもかかわらず、南タワーにおける民間人死者は624人と(1,466人の民間人死者を出した北タワーに比べて)少なかった。民間人死者のほかにも、現場に駆けつけたニューヨーク市消防局の消防士343人と、ニューヨーク市警察などの警察官71人がワールドトレードセンターで死亡した。各タワーの崩壊時、内部には多数の民間人や消防士が存在していたが、生存してがれきから救出されたのは20人のみだった。

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その後、2014年11月にワン・ワールドトレードセンターが建築され、跡地はグラウンド・ゼロとして整備されました。

新しい施設や記念碑に行ってみましたが、まだ事件の衝撃が生々しく思い起こされ、複雑な気持ちが去来します。

そもそも世界においてテロリズムとの戦いは緒に就いたばかりといえるかもしれません。国家レベルの大戦の時代からは考えられないほど、テロとの戦いは困難を極めることは容易に想像できます。

必要な備えをし、できるだけ危険を察知し、身を守る、つまりテロの対象となる施設、場所、イベントなどから身を遠ざけることが必要です。

日本ではテロの危険を身近に感じることは少ないのですが、それは多分そのように思い込んでいるだけです。

外出すれば、アクセルとブレーキを踏み間違えて暴走する自動車が突っ込んで来たり、頭のおかしな運転者がさもないことにキレて煽って来たり、といった交通事故の危険性がありますし、通り魔殺人のような理不尽な事件に巻き込まれる可能性もあります。

新幹線での所持品検査も行われない国ですから、なかなかテロ対策は進みません。少なくとも自分の身は自分で守る気持ちはしっかり持ちたいと思います。