ヴィヴァルディの四季は、なぜあんなに軽快で歓びに満ち溢れているのでしょう。
多分知らない人はいないくらいの有名な楽曲ですけれど、特に春のテーマは生まれて初めて聴く人でも、どこかで聴いたことがあると思えるようなしっくりと腑に落ちる主題です。
私は子どもの頃から、この曲は何回も演奏しました。
チェロの場合、この時代はまだ通奏低音といって、ベース部分を支える役割が多く、はっきり言って退屈です。
退屈だと、ついついテンポを速めてしまうのです。
すると、独奏ヴァイオリンが死にそうなほど無理な速いテンポになってしますのですよ。
何度ももソロバイオリンから睨まれたことがあります。
できれば春だけでなく、夏、秋、冬と1年を通して演奏を聴いてください。
夏にスコールが降ったり、秋には収穫があり、冬は外の雪を眺めながら暖炉で温かいスープをいただきます。そんな情景が生き生きと音楽で表されています。
浅田次郎の「蒼穹の昴」という不朽の名作があります。
清末期の中国王朝の様子を描いた小説です。せっかく日本に生まれたなら、いくつかの必読書があると私は思うのですが、これはその一つです。
この中で、ミラノ生まれのイエズス会宣教師、ジュゼッペ・カスティリオーネ(郎世寧)の友人として、このヴィヴァルディのことが出てきます。
本当のお話かどうかはともかく、芸術が世代を超えて永遠に生きていく様子を浅田次郎は朗々と伝えてくれます。
さあ、今日も四季を演奏しましょう。
今日はテンポをしっかり守ります。
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