私の好きな萬年筆について、各社の製品を比較してみます。
萬年筆は英語でfountain pen、泉のペンです。イメージがわきますよね。良いネーミングです。
文具に対する愛着は、不思議です。名前をつけたくなる。良いものだけを買って長く使いたい。子どもができたらそのまま渡して使い継ぎたい、祖父の名前入りの文具を父から譲られたら・・・。想像するだけで楽しみです。
モンブラン Mont Blanc
筆記具の国際ブランドといえば、最初に挙げるべきはモンブランMont Blancです。
1906年創業のドイツのメーカーで、アルプスの最高峰モンブランをイメージしたホワイトスターのマークは美しい。高級感もあり、「マイスターシュテック」シリーズを実際に手にとってみると、その重厚な作りに感動します。
びっくりするほど高価ですが、決して後悔しない文具です。https://www.montblanc.com/ja-jp/home.html
パーカー PARKER
ニューヨークにいると、パーカーはアメリカ製だとばかり思っていました。
実はアメリカ発祥の文具メーカーで、長く英国に本社がありましたが、再びアメリカ資本に戻ったようです。
最近は5thシリーズの「インジェニュイティ」など画期的なシリーズがあります。
しかしパーカーといえば「デュオフォールド」です。
パーカーは初心者用の安価な製品も多く、ブランドのイメージとしてはそれほど高級とは感じておられない方もいるかもしれませんね。
そのような方はぜひデュオフォールドシリーズを手に取ってみることをお勧めします。http://www.parkerpen.com/ja-JP
ウォーターマン WATERMAN
ウォーターマンは、そもそもはニューヨークのルイス・エディソン・ウォーターマンが毛細管現象を利用した萬年筆を1883年に発明したことが起源の会社です。
その後曲折があり、現在ではフランスの企業です。発音もフランス語読みでワテルマンというのが正しいそうですが、日本語のホームページではウォーターマンとしています。
エクセプション、カレン、パースペクティブなどフランスらしいデザインのシリーズがあります。
どのシリーズもデザインの良さだけでなく、機能性も備わっており、どれにするか迷います。私のオススメはもっとも重厚なエクセプションです。https://www.waterman.com/ja/
パイロット PILOT
1918年に、東京高等商船学校(現在の東京海洋大学)教授並木良輔が、仕事で乗船中に使用するペンに不満を持ち、自ら製作した筆記具をパイロットペンとして発売したのが始まりの国産企業です。
あとで出てくるセーラーも船員に由来する名称で、不思議な類似性がありますが、これは当時の船乗りにとってインクの補充がいらないペンの使用が必須だったことによるそうです。
パイロットといえば、蒔絵や宝石で装飾した超高級品の萬年筆が有名ですが、これはセイラーやプラチナといったメーカーにもラインナップがあります。
万年筆ではありませんが、筆記具としてドクターグリップシリーズや消せるボールペンのフリクションボールはパイロットの大ヒットです。
私も消せるボールペンを使っていますが、残念ながら書き味という点ではゲルインクのボールペンに部がありますが、メモを取るための筆記具としては秀逸で、消せる魅力にはかないません。
国産メーカーらしく安価な普及品もありますが、逸品を探すなら工芸品の要素のあるシリーズがいいでしょう。https://www.pilot.co.jp/
セイラー万年筆
1911年に広島県呉市で創業した純国産企業で、カートリッジ式万年筆の特許を持ち、日本で初めてボールペンや筆ペンを製造しました。
セーラー万年筆も蒔絵で装飾した高級品のラインナップがあり、百万円を超えるものもあります。
ペン先の種類も多く、左利き用の万年筆など、さすが技術力ある企業だと思います。
ロボット開発に力を入れているところも面白いと思います。https://www.sailor.co.jp/
プラチナ萬年筆
1919年に岡山県で創立された純国産企業です。
1981年に同社の製品プラチナZがニューヨーク近代美術館MOMAに収納されたことが話題になりました。
筆記具メーカーだけあって様々な種類の筆記具を販売しており、萬年筆ではセンチュリーシリーズがありますが、金沢箔を使用したシリーズも魅力的です。https://www.platinum-pen.co.jp/
ペリカン
ペリカンは、1832年にドイツ・ハノーファーでカール・ホルネマンが絵具とインクの製造を始めたことが起源だそうです。
まったく個人的な嗜好ですが、私はペリカンが好きです。以前は日本製をよく使っていましたが、仕事などでノートをとるときにゲルインキのボールペンを使い始めてからは、署名用にペリカンを使う以外は萬年筆は使わなくなりました。
ペリカンの萬年筆は、どこが良いのでしょう?日本のパイロット、セイラー、プラチナとどこが違うのでしょう?
結論から申し上げると、多分日本製の万年筆の方が快適かつ清潔に使えると思います。
私の使っているペリカンはスーべレーンM800の太字です。ただM400の細字の方が汎用性は高いと思います。
スーべレーンは緑の縞軸が本当に美しいと思います。
インクは吸い上げ式ですから、手は汚れますし、あまりたくさんのインクをストックできません。そんなところが使いにくいと判断されるのでしょうね。
私にとって萬年筆といえばペリカンです。それは文字を書く楽しさを強く感じることができるからです。
スーべレンで字を書くと、毛筆で書いているような錯覚に陥ることがあります。確かに日本語の文字は、漢字もかなも、毛筆を意識すると上手に書けるように思います。
インクはブルーブラックしか使ったことがありません。ブラックだと印刷と見分けがつかないこと、そして万年筆のブルーブラックの発色に魅かれるからです。この色はメーカーによって微妙に違います。http://www.pelikan.com/
筆記具全般に言えることですが、実用性を求めるならボールペンにかないません。最近は消えるボールペンが登場し、もはや敵なしです。
そもそも筆記具としての萬年筆は、なぜいまだに存在価値があるのでしょう?
そこだけを考えて、私は萬年筆を複数本、持っています。