アリゾナからニューメキシコへ

アリゾナのツーソンは、アリゾナ大学がある人口50万人強の学園都市です。アメリカの地方都市の例にもれずダウンタウンは華やかですが、すぐに郊外の景色が広がり、そして何もない情景が広がります。

すでにインターステート8号線はなく、10号線を東へ進みます。

本当に何もない道路を走っていると、クルーズコントロールがありがたいです。ずっと先まで、またずっと後方まで、誰もいません。何もありません。低木のような茂みがわずかに見える以外、生物というと飛翔昆虫がウインドウに衝突するくらいです。ラジオではカントリーミュージックやフォークソングやクラシック音楽などのチャンネルがあって、飽きることはありませんが、話し相手がいないのでそれだけ寂しい気がします。

ニューメキシコに入ります。途中、ラスクルーセスという街がありますが、拍子抜けするくらい小さな街です。誰が住んでいるんだろう、と思います。

私の知人のアメリカ人は、偶然でしょうが、皆アメリカの地方都市について同じことを言います。

退屈だよ。

だからほとんどのアメリカ人は、東海岸が好きな人間はニューヨークを目指し、それ以外のすべてのアメリカ人はカリフォルニア(西海岸)を目指すのだそうです。

ツーソンを出て318マイル(511キロメートル)、およそ4時間半でエルパソに到着です。

この街を決定的に特徴づけるのは国境の街だということです。

メキシコ国境を抜けるのは、アメリカ側からは何のチェックもありません。

逆にメキシコからアメリカに入国するのはとてつもなく大変です。詳しくは書けませんが、決して快適な国境通過ではありません。カナダのバンクーバーからアメリカに入国するときもそれなりにたいへんですが、メキシコ国境を抜けるのは、要するに自分は犯罪者ではない、ということを審査官にアピールする必要があるのだなと思います。

それでもエルパソの街は快適でした。タコスは美味いし、テキーラが気持ちよく喉を焼いてくれます。

明日はちょっと北上して、サンタフェに寄ってみます。