アルペジオーネソナタを弾いてみよう

チェロの名曲はたくさんありますね。あなたのお好きな曲は何でしょうか。

私は聴くのも演奏するのも、シューベルトのアルペジオーネソナタが好きです。

元はチェロ用の曲ではなく、古楽器のアルペジオーネのために作曲されたものです。

Arpeggione Henning Aschauer 1968

(写真はウイキペディアから引用しました。)

チェロとの違いは、6弦あること、フレットがあることです。

非常に珍しい楽器ですから、私は現物を見たことがありませんし、音も聴いたことはありません。そもそも既に存在していない、と言う方もいます。

ではなぜ、今でもアルペジオーネという楽器が話題になるかというと、シューベルトの美しい楽曲のおかげです。

実際にシューベルトのアルペジオーネ・ソナタをもっとも得意な演奏曲として活躍しているチェリストがたくさんいます。

私が初めてこの曲を聴いたのは、モーリス・ジャンドロンの生演奏でした。

シューベルトらしいメロディラインは、歌曲のようです。

冒頭はピアノの伴奏で始まります。わずか8小節のピアノの旋律が、全体として悲しい歌曲を予感させます。ピアニストによっては、楽譜どおりに弾く方もいますし、テンポを大きく揺らせて世界観を提示する方もいます。

続いてチェロが同様の旋律を奏でます。2番線のA(ラ)の音から始まり、旋律の移行ですぐに1番線のハイポジションのH(シ)まで飛ぶのです。

こんな音域の広さも、チェロにしてはちょっと特異な印象があり、6弦楽器のための曲だと言われると納得します。

シューベルトはソナタ形式を守って、第二主題では一転して明るい旋律が登場します。チェロではとても弾きにくい音程の飛び方をします。ピアニストに聞くと、ピアノにとっても演奏しにくいそうです。

そこはプロ奏者の腕の見せ所で、どなたも易々と演奏しています。

私のようなアマチュア奏者の演奏を聴いてみると、ああ難しい箇所なんだと納得できるはずです。

このアルペジオーネソナタの存在を知ってから、プロのチェロ奏者が様々な場面で演奏するのを聴き、自分でも演奏したいと強く願うようになりました。

実際には、ドヴォジャークのチェロコンチェルトなどと比較すると難易度はそれほど高くないように思います。

確かに難しい場所は多くありますが、市販の楽譜には原譜どおりに弾かなくても、要するにごまかす方法が明記されています。今ではそちらの演奏で覚えてしまいました。プロの録音を聴くと、あれ違うじゃん、などと錯覚してしまいます。

ところでこのような曲を習得する秘訣は簡単です。演奏できるようになるまで、何十回も、何百回も、何千回も、とにかくひたすら練習することです。

10回練習してできなくても、100回練習したらできるようになるかもしれません。100回でダメでも、1000回でできるようになるかもしれません。

Practice makes perfect.

これしかありません。

もしこの曲をまだ聴かれたことがないようでしたら、誰の演奏でもかまいませんからぜひ聴いてください。きっと、少し人生で得した気持ちになることでしょう。

私のおすすめは、ロストロポーヴィチのチェロ、ベンジャミン・ブリテンのピアノ演奏版です。数々の名曲を残した作曲家のブリテンの伴奏は、冒頭の和音から悲しい歌曲であることがわかります。テンポを揺らした演奏ですが、名手ロストロポーヴィチの卓抜した技巧とともに最高の演奏録音であると思います。

スポンサーリンク