ニューヨークに住んでいると、朝食や昼食を一人でとるときなどにデリには本当にお世話になります。日本のコンビニ感覚です。
でもここはニューヨークです。デリはアメリカ文化の中にあります。デリを快適に使いこなして、ニューヨーク滞在をもっと快適に楽しみましょう。
朝食をデリで買う又はイートインする場合、多くのデリで朝食セットがあります。コーヒーとベーグルサンドで5ドルくらいでしょうか。
食べ物に関して人間は案外保守的なのか、メニューの種類はたくさんあるのに、同じようなものを選ぶ方が多いようです。
私も、朝食はいつも目玉焼きとスライスハムを挟んだベーグルサンドか、ブラウンブレッドにクリームチーズを厚く塗ったものを頼んでいました。コンビニで売っているようなサンドイッチもあることはありますが、せっかくカウンターで卵を焼いてくれるのに、わざわざ冷めたサンドイッチを頼む気がしません。
ハムも、本当に多くの種類があり、チーズも同様です。名前を知らなくても、指差してこれ!といえば済むんですが、まあいつも同じメニューでした。私だけかな?
さて、昼食です。
ニューヨークのデリは本当に色々な食材を扱っています。ちょっと変わったところではビーガンフードを取り揃えたお店も増えましたね。完全菜食主義というのでしょうか。
比較的親しみやすいのは中華料理です。だいたい味は想像できますし、まあ外れないですね。残念なのは日本食でしょう。お寿司は値段なりですから遠慮しておいた方が無難です。どうしても食べたいならきちんとした板前さんが握ってくれるお寿司屋さんへ行きましょう。100ドル札はとびますけれど、それだけのクオリティがあります。ボストン・ツナは美味しいですよ。脱皮したてのカニもいいですね。ちなみにカウンターでヒカリモノを注文した現地の方が、「この刺身は腐っているのではないか?」とソフトにクレームをつける様子を何度か目撃したことがあります。腐ってはいないのですがねえ、そう思ってしまうのもわかる気はします。でもそのクレームを受けた日本人の板前さんは、よく切れるというか、かあっとなるというか、まあ冷静ではいられないのでしょう。
いや、デリのお話でした。
たまにタイムズスクエア周辺のデリで、アメリカの地方からやって来たと思われる子どもたちと先生が、ランチを購入しているところを見かけます。それぞれパックを手に、野菜やハムやソーセージやフルーツを詰め込んでいます。先生が「1オンス〇〇セントだよ!」と料金を生徒に教えていて、なんだか微笑ましくなります。パンの種類もよく知っていて、上手に美味しそうなパンを選んでいます。私は日本の柔らかい白パンしか知らずに育ったので、子どもたちや現地の方の真似をして挑戦することがよくあります。食文化の違いだなあと思います。
中国系のデリに行くと、日本でよく見かける柔らかいパンがあります。やはりアジア人は歯ごたえよりソフトなものを好むのでしょうか。
もし旅行者の方でしたら、デリで失敗しないコツがあります。それは温かいものを選ぶ、つまり温かいものを調理してもらうことです。肉は少々高くなることがありますが、それでもレストランよりははるかに割安です。
そして、調理してくださる店員さんに、明確な指示を出すことです。卵を何個、どのように焼いてほしいのか。肉は何の肉をどんな風に食べたいのか。付け合わせに何かほしいのか。パンに挟むならどのパンをどのくらいほしいのか。
もし英会話に自信がないなら、あらかじめ伝えたい内容を暗記しましょう。
でも、たいていカウンターの向こうにいる方も母国語は英語ではない場合が多いようですから、何なら食材を指差して「これ!」でも通じるかもです。会話をする努力だけは惜しまないようにしましょうね。黙ってニコニコされても不気味なだけですからね。
デリのコーヒーは美味しくなりました。スタバが日本で有名になる前から、あのスタイルはアメリカでは普通でしたが、中にはポットのコーヒーがなくなるまで次の新しいのを作らない豪快なデリもありましたから、スタバのスタイルの貢献は大きいと感謝しています。わざわざ「コーヒーは新しいのを淹れてくれ」っていうのを目にすることはほとんどなくなりましたからね。
では、今日の私のランチはゴマの乗ったベーグルサンドに目玉焼き2個と薄切りハムで、って今朝と同じじゃん。まあいいか。