ドヴォルザーク交響曲第8番を演奏する。

ドヴォルザークの交響曲で、最もボヘミアの風情が感じられるのは8番です。

特に第3楽章のワルツは、切ない旋律がチェコの大自然の郷愁を感じさせます。主旋律の美しさと対比するように副旋律が動く様は、ブルタヴァ(モルダウ)の滔々とした流れが風に吹かれてうねるようです。

チェロ奏者は、第3楽章は暇です。美しい楽曲の構想を楽しみながら、粛々と伴奏します。

チェロの旋律が美しいのは1楽章と4楽章の冒頭です。一般大学に入学したけれどチェロを弾きたくて、オーケストラに入った初心者でも、なんとか2年目にはこの曲のステージには立てることでしょう。

私の大学のオーケストラでもそうでした。そもそもチューニングもまともにできない新入生ばかりで音程はひどかったですが笑、演奏者の充実感は一際(ひときわ)高かったと実感しています。お客様も喜んでくださいました。ステージと客席が一体化することこそ、舞台芸術の極みと思います。それは世界的なプロ奏者もアマチュアも同じです。

ボヘミアは、私はかつて2回だけプラハを訪問したことがあります。それぞれ1泊しただけなので、多くを語ることはできません。きっと郊外まで足を伸ばせばもっと多くを感じ取ることができたのでしょう。将来の楽しみです。

少なくとも、アメリカやヨーロッパをそれなりに歩いた実感として、プラハのカレル橋からブルタヴァを眺め、ドボジャークホールでチェコフィルの演奏を聴き、プラハ城を眺め、火薬庫の尖塔に胸躍らせるだけでも、ボヘミアの香りは十分にかぐことができます。

人生の時間は有限ですから、本当に好きな街、例えばニューヨーク、パリ、ロンドンの三都でも、ちょっと特殊な東ヨーロッパやアメリカ南部でも中西部でもいいので、その街を深く知るために時間を使うべきなのかな、と思っています。

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