第九を演奏しよう。第2楽章はスケルツォ!

スケルツォという形式の楽曲です。

スケルツォとはイタリア語で、英語ではjoke(冗談)のことです。

と言っても別に笑わせようという意図はまったくなく、軽快で洒脱な印象の構成で、テンポも早く演奏されます。三拍子ですが、早い三拍子なのでむしろ一拍子のように聞こえます。

ベートーヴェンはこの主題をラ→(1オクターブ下の)ララ、レ→(1オクターブ下の)レレという旋律で表現しています。

この主題が提示されると、続いてティンパニが同じリズムを刻みます。ここで用いられるオクターブのユニゾン(オクターブ違う同じラの音が同時に演奏されること)がこの曲を特徴付けます。

タンタタン、という歯切れの良い音形はティンパニの太い音色によって力強く会場を包み込みます。

次の中間部(トリオ)はニ長調で朗らかに音階が上昇と下降を繰り返したのち、上昇しきったところで優しく着地します。この旋律は、チェロにとっては2番弦の開放弦のレの音から始まり、最後は1番弦フラジオレットのラの音で収束します。もちろん開放弦は使わない奏者の方が多いのでしょうが、ここでは使っても差し支えないように思います。

開放弦を使わない理由はビブラートがかけられないからですが、大きなクレッシェンドとデクレッシェンドの中で歌うなら、開放弦から始まってもむしろ表現しやすいように思います。

最後のプレストでは力強くオクターブを弾いて終わります。