ティファニーで朝食を(映画)

Breakfast at Tiffany’sは、アメリカの小説家 Truman Capote が1958年にランダムハウスから出版し瞬く間に大ヒット作となった小説です。

一方、同名の映画は、1961年に Audrey Hepburn 主演でパラマウントにより映画化され、こちらも大ヒット作となりました。

あなたは映画の印象が強いでしょうか?それとも原作小説がお好きですか?

私はどちらも「別の作品」として好きです。

最初は映画を見ました。

オードリー・ヘプバーンの美しさは、「ローマの休日」や「麗しのサブリナ」などの初期の作品が際立っているように思います。

しかしこの作品のヘプバーンは、もはや人ではない美しさがあふれています。役どころは娼婦そのものではないけれど、ニューヨークの社交界で高名な美人という設定は、娼婦のような非倫理性を感じます。そこがヘプバーンの美しさには似つかわしくない気がしますが、映画を見るとヘプバーンの代表作と言われる理由がわかります。

冒頭シーンに触れずにいられませんから、そこだけ書きます。

早朝のマンハッタン五番街を古色騒然とした1960年代のタクシーが走って来ます。黒いイブニングドレスで髪を上げたヘプバーンが降車します。手にはカップコーヒーとパンの袋を持ち、ティファニーのウインドウを眺めながらコーヒーを飲み、パンを少しだけ口に含みます。

ヘプバーンの美しさを引き立てる黒のドレス。ジバンシィがデザインした黒のカクテル・ドレスは、早朝のニューヨークの五番街、ティファニー前という設定に不思議な高級感と躍動感を与える一方で、その不調和が物語の興趣を予感させます。

映画だけ見ると、何でティファニーなの?と思うのは当然です。その答えは小説を読めばわかります。あえて引用しませんが、主人公ホリー・ゴライトリーが自らの言葉で語っています。

ところがこの高級宝飾ブティックで食事ができるようになりました。

2017年11月に4階がカフェになったのです。その名もブルーボックスカフェ。ティファニーにぴったりの名前です。人気沸騰のため予約はほぼ困難で、私も行ったことはありません。

さらに2019年11月25日にルイヴィトンなどを擁するLVMHがティファニー買収で合意というニュースが流れました。

「ルイ・ヴィトン」など高級ブランドを擁するフランスのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは25日、米ティファニーを現金160億ドル(約1兆7400億円)超で買収することで合意したと発表した。高級ブランド業界では最大級の買収で、LVMHはジュエリー分野を強化するほか、米国とアジアのより幅広い消費者層へのアクセスを得る。

ブルームバーグ https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-25/Q1IJNWT0AFB601

さて、映画のお話です。冒頭から流れるヘンリー・マンシーニの音楽が叙情性を高めます。

ストーリーは、カポーティの小説とは全くの別物語であることがわかります。

ここで双方の比較を比較しても意味がないことですが、あえて申し上げると小説版は結末が未確定のまま、映画版はハッピーエンドです。

小説については(私は小説が圧倒的に好きですが)また別の機会に書きます。

映画版でいいなあ、と思うのはセントラル・パークでホリー・ゴライトリー(オードリー・ヘプバーン)の夫と名乗る田舎の獣医師ドクと、主人公の小説家ポール・バージャク(ジョージ・ペパード)が会話する情景です。

マンハッタンのアッパー・イーストサイドは、住居から本当に近くにセントラル・パークがあって、日常的に遊びに行く「ご近所の公園」なんですね。

ラストシーンで、雨の中ホリーとポールがタクシーから出て猫を見つけ抱擁する場面は、情景設定がいかにもスタジオの中のセット感があって私は面白く見ました。

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